レオパレスについて考える

ご存じ日本の大手不動産会社レオパレス21。2018年の界壁施工不備問題に始まり、旧村上ファンドやソフトバンク等話題に事欠きません。その株価を中心にいろいろと考えてみました。(土日や休日はあまり更新できないかもしれません)

【延期、延期、延期】レオパレスが改修工事、事業戦略再構築の詳細発表、決算発表、を延期!!

 

施工不良問題が経営の重しになっている株式会社レオパレス21ですが、4月28日に毎日新聞

不良物件の改修時期について、実際には2年半以上かかる可能性があると認識しながら、「20年12月末をめどに完了させる」と意図的に楽観的な見通しを公表した疑いがある

と報道されました。

 

mainichi.jp

 

その報道に対する見解を含め、レオパレス21から本日(4月30日)、3つの文章(報道に関して、抜本的事業構造改革に関して、決算に関して)が公開されています。

 

それぞれについて考えてみました。

 

 

改修工事の実施計画について

そもそも施工不良問題についておさらいしたいと思います。

ことの発端は2018年3月、4月に2名のオーナーから指摘を受け、界壁施工の不備が明らかになりました。

界壁とは以下のように説明されています。

https://www.leopalace21.co.jp/info/overview.html

界壁とは共同住宅など各住戸の間を区切る壁のことを言います。

界壁は、「防火」「遮音」について建築基準法等、関係法令の技術的基準に基づく性能を満たし、小屋裏・天井裏まで達するように設ける必要があります。

 界壁

さらに5月29日には、テレビ東京の番組『日経スペシャガイアの夜明け』にて「違法建築疑惑のスクープ」として界壁の不備に関して報道されています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%91%E3%83%AC%E3%82%B921#%E6%96%BD%E5%B7%A5%E4%B8%8D%E5%82%99%E5%95%8F%E9%A1%8C

 

その改修工事の進捗状況は決算発表などで都度、公表されています。

 

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2月に公表されたの2020/3月期3Q決算資料をまとめると図のようになります。

 

全管理棟39085棟のうち、さらに対応が必要な棟数が13117棟残っていることがわかります(2020年1月31日時点)。

 

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図 改修工事の進捗状況(2020/3月期3Q決算資料より)

尚、その2か月後の2020年3月31日時点での進捗も公表されています。

https://www.leopalace21.co.jp/info/pdf/2020/progress.pdf

 

公表されている資料によると改修完了棟数は880棟(10月31日)、942棟(1月31日)から990棟(3月31日)と増えていることがわかります。

 

つまり、6か月で110棟の改修が完了したことがわかります。1月31日時点の改修工事の未着手棟数は9147棟なのでだいぶペースをあげないとそもそも改修が終了しないことがわかります。

 

事業戦略再構築の詳細発表の延期

抜本的事業戦略再構築の内容(骨子)が発表されました。

https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/pdf/0430_03.pdf

それによると各事業については

a)強化     賃貸事業
b)維持・継続  シルバー事業
c)縮小     開発事業
d)撤退・譲渡  国際事業、ホテル・リゾート事業

となっています。

方針としては

1)事業戦略の見直しに基づくノンコア事業の撤退・譲渡
2)事業戦略の見直しを踏まえた抜本的な人員最適化・スリム化
3)規模の適正化にあわせた、徹底的な販管費等のコスト削減

の3つが報告されています。

これまでも3)の販管費等のコスト削減はすでに行われており、2020/3月期で77億円の削減を公表しています。

2)のスリム化は事業なのか人員なのか、ここからだけでは少し読み取れません。詳細が明らかになるのを待ちたいと思います。

1)のノンコア事業の撤退・譲渡はd)の国際事業、ホテル・リゾート事業の撤退・譲渡とリンクしているように見えます。

2019年10月にすでにホテルやオフィスの売却を報告しておりますが、さらに売却を進める模様です。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50616090U9A001C1916M00/

 

ホテル・リゾート事業は2016,17,18,19年と赤字が続いているので、事業の売却は経営の改善に寄与するものと思われます。

しかし、あまり『抜本的』とは思えないのは私だけでしょうか。

 

詳細がほとんどないため、判断しかねるところかと思いますが、レノがどのように対応するか注視したいと思います。

 

決算発表の延期

4月14日に金融庁から有価証券報告書の提出期限を9月末まで延期できる旨、公表されています。

https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200414.html

レオパレス21に限らず、多くの企業で決算の延期が公表されているようです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200421/k10012397611000.html

 

レオパレスにとっては決算報告だけでなく、事業戦略再構築案の報告も必要であり、時間ができた、というところでしょうか。

 

まとめ

今回、コロナウィルスの流行を理由に改修工事、事業戦略再構築の詳細発表の延期が公表されましたが、うがった目で見てしまうと本当にコロナウィルスが理由なのか、すんなり受け入れられないような実感です。

 

理由はともあれ、改修工事の延期、事業の撤退は財務を悪化させるものではないと思われますので、賃貸事業を立て直して健全化する、という観点では一歩前進でしょうか。

(一歩が大きいか、小さいのか、はさておき、、、ですが)

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