【緊急事態宣言】1カ月で収まるか?海外データで検証してみた【新型コロナ】
とうとう本日、新型コロナウィルスの流行により、安倍総理から特別措置法に基づき緊急事態宣言が出されました。 対象は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都道府県が対象で実施期間は1か月間の5月6日までとなります。
日本に先駆けて海外ではすでに緊急事態宣言が出されていますが、何日くらいで効果が出てくるのでしょうか?
ジョンホプキンス大のデータをもとに考えてみました。
2つの数字(8割2週間)
安倍総理は会見の中で
最も重要なことは、国民の皆さんの行動を変えることだ。専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる。効果を見極める期間も含め、大型連休が終わる来月6日までの1か月間に限定して、国民の皆さんには7割から8割の削減を目指し、外出自粛をお願いする
と呼びかけています。
キーとなる数字として、
『8割』、『2週間』、
というのがあります。
8割という数値の根拠となったかはわかりませんが、4月3日の日本経済新聞に北海道大学の北浦教授の試算が掲載され、人と人との接触を20%程度減らしても感染症拡大を防止する効果はなく、80%削減すると感染者を急激に減少させることができる、としています。
西浦教授は数理モデルを用いた感染症拡大予測の専門家とのことで、JSTのプロジェクトを複数行われているようです。
ビッグ生物学的データを使用した事前兆候の検出とパンデミックのリアルタイム予測
CREST Big Data Applications、日本科学技術庁(JST)
数理モデリング手法を用いた感染症対策の政策立案プロセスの実現
RISTEX R&Dプロジェクト:科学技術振興政策、科学技術振興機構(JST)
http://plaza.umin.ac.jp/~infepi/hnishiura.htm
2週間という数値は新型コロナウィルスによる症状発症の潜伏機関が1~14日(一般的には約5日)とされていることに基づくものと思われます。
海外の状況は?
では、日本に先駆けて都市封鎖等を行った海外では都市封鎖後2週間で新型コロナウィルスの流行はどのように推移したのでしょうか?
まずニューヨーク州のデータを見てみましょう。
感染者数が世界最多となったアメリカですが、それぞれの州の判断で外出禁止令が出されています。最初に出したのがカリフォルニア州で3月19日、ニューヨーク州は3月22日から発動しています。
そこでジョンホプキンス大のデータに基づきニューヨーク州における新規感染者の推移を見てみました。
ニューヨーク州は現在、約70000人を超える感染者数を出していますが、その原因として、カリフォルニア州の発令から3日発動が遅れたことにより、自体を悪化させたのではないかと言われています。
発動日の3月22日は2124人、その1週間後の3月29日は3992人の新規感染者が出ておりますが、外出禁止令の発動から13日後の4月4日をピークに、ここ数日は新規感染者が減少に転じたように見えます。
では爆発的な感染拡大で、医療設備の不足が報道され、1万5000人以上の死者が出ているイタリアではどうでしょうか。
イタリアでは3月10日に全土が封鎖されました。その1週間後(3/17)、2週間後(3/24)の新規感染者の推移が図2です。やはりニューヨーク同様、2週間後の3月24日には新規感染者の増加はピークアウトしているように見えます。
しつこいようですが、スペインにおけるデータも同様に検証いたしました。スペインも10万人を超える感染者が出て、毎日800人以上が亡くなる大変な事態となっている国です。
こちらのデータにおいても3月14日に非常事態宣言が出され事実上の都市封鎖状態のなってから、1週間後の3月21日、2週間後の3月28日の新規感染者数の推移(図3)を見るとほぼ2週間後には新規感染者数の増加がピークを迎えているように見えます。
西浦教授は
『一方、8割程度減らすことができれば、潜伏期間などを踏まえ、10日~2週間後に1日数千人をピークに急激に減少させることができる』
としています。
数理モデルは海外のデータと照らし合わせるとかなり精度よく予測できていることがわかります。
まとめ
本日、緊急事態制限が出されました。日本では大きな混乱は無いようですが、人々の生活や経済に与える影響は計り知れないものとなるかもしれません。
一方で、身近な人、大事な人が亡くなってしまった場合の悲しみはそれを超えるものとなるでしょう。
西浦教授の予測や海外における実績を踏まえると、1か月外出自粛要請を守れば、非常に大きな効果が期待できると思います。
少しの間、不便を我慢すれば、2週間後には少し明るい兆しが見え、1カ月後には元の生活に戻れるかもしれません。
私はブログやプログラムを書きながら『1カ月のおこもり生活』を楽しむことにしたいと思います。