【レオパレス決算】業績予想113億(22.3期)、235億(23.3期)は本当?
6月5日、新型コロナの影響で延期されていた株式会社レオパレス21の20.3期の決算発表会が開かれました。
6月3日に決算内容を日経新聞にすっぱ抜かれたり、6月4日に村上氏が増資提案をしたら何かと話題(株価の動き)に欠きません。
今回は決算発表内容について考えてみました。
決算内容
決算ハイライト
まず、決算内容全体です。
売上4335億円、営業利益-365億円 純利益-802億円となっています。
こちらについては6月4日にも、考察していますが純利益のマイナス幅が大きくなっているのは繰延税金資産の取崩し(215億円)や事業撤退に伴うもの(76億円)であることを考えると数値のインパクトに比べるとそれほど直近の株価への影響はないのではないかと考えています。
セグメント別業績
セグメント別の業績を見てみます。
今回の事業改革で縮小、撤退する開発事業、ホテル・リゾート事業はそれぞれ51億円、10億円の赤字となっています。
開発事業は『レオパレス銀座』と呼ばれる過剰な建築を生んだ温床とも思われ、事業モデルに問題があると思われること、ホテル・リゾート事業は継続的に赤字を出していた事業ですので今回の事業改革によりこれ以上の出血(資金流出)が止まるのは良いことのように思えます。
https://dot.asahi.com/dot/2019021400052.html?page=1
主力の賃貸事業は年平均の入居率が80.78%と従来であれば損益分岐点付近であったはずの数値にもかかわらず208億円もの赤字を出しています。
販売管理費等は731億円(18.3期)から688億円(19.3期)、619億円(20.3期)と圧縮しているはずなのに利益率が下がっているとすれば問題です。
今後の業績予想
中長期戦略
中長期戦略は利益の出ていないノンコア事業からの撤退や大規模なリストラ(1000名の希望退職)で非常に好感の持てる内容です。
株式会社レオパレス21の従業員数は19.12月時点で7226人(連結、四季報より)であり、募集希望退職者数は全従業員数の14%程度に当たります。
平均給与は557万円、平均年齢は37.6歳となっていますので少なく見積もっても50億円以上の人件費削減につながる見込みです。
計画
多くの会社が来期以降の業績予想を見送る中、レオパレス21は業績予想を公開いたしました。それによると営業利益で-98億円(21.3期)、113億円(22.3期)、235億円(23.3期)としています。
レオパレス21の賃貸事業は平均入居率で決まりますのでその根拠となるのは入居率の予測値ですが2020年7月を底にそこから驚異的に回復する予想を立てています。
これは改修工事が終わることにより紹介できる物件数が増えること、2020年3月期の後半は法人契約数が上向いていること、を織り込んで予想しているものと思われます(及びその他の強化施策)が果たして達成できるでしょうか?
現状でもコロナの影響でレオパレス21の入居率は平年以上に下がっています。レオパレス21の法人契約は例えば派遣従業員等への住宅提供などに使用されていると思われますが、恐らく顧客となるような企業でもコロナの影響で新規の派遣雇用は停止して、業績が上向くのが確認できるまで雇用調整のバッファとすることが予想されます。
また、今回公開されている以前(2013年~)の入居率推移を見ていても4~12月中に入居率が2ポイント以上向上したことは1度もありません。
それをこのコロナ禍の中で達成するのは幾分楽観的な見通しのように思えます。
まとめ
今回公開された決算内容から倒産が懸念されるほどの内容には思えませんでした。また、すでに大きく投資しているレノ、アルデシアは倒産を望まず事前に何らかの策を打つでしょう。
また、今後の中長期的な計画は祖業回帰であり、好感の持てる内容でした。
一方で業績見通しは楽観的な印象が拭えません。
株価の本格回復があるとすれば2022.3期の黒字が見通せるかどうか2020.12月頃が一つの目安でしょうか。
そこまでは村上ファンド等発信のニュースの有無で上下する、といった動きになるでしょうか。
7月以降の月次データで入居率を確認していきたいと考えています。