【レオパレス】業績下方修正、800億円超の赤字
6月4日、株式会社レオパレス21が2020年3月期の業績予想を修正しました。
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/pdf/0604_02.pdf
当期純利益は従来、-304億円と予想されていましたが-803億円と499億円、予想を引き下げました。
公表内容を受けて、株価も236円まで14%程度下げています。
そこで今回の発表内容について考えてみました。
倒産はあるか?
今回、業績の悪化を受けて大幅に株価が低下しており、多くの株が売られたことがわかります。売った人の思想としては、①あらかじめ業績悪化を予想していて買い上がり発表直前に売り抜けた、②発表を見て、倒産を懸念した、③発表を見て、業績回復の遅れを懸念して嫌気した、あたりでしょうか。
①に関してはさすがとしか言いようがありません。③に関しては、もともと今期は赤字予想であり、来期も恐らく赤字、今回の下方修正は特別損失であり業績回復の可能性がある2022年3月期への影響は小さいと思われるため、③の可能性も低いでしょうか。
そこで②の倒産リスクについて考えるために2020.3月期の3Q決算書類における財務諸表を確認いたしました。
https://www.leopalace21.co.jp/ir/library/pdf/2020/3Q/daisan_tanshin.pdf
それによると手元現金及び売掛金で約850億円程度あることがわかります。
今期の損失が803億円であること、また、繰延税金資産の取り崩し等、すべてが出金が必要な内容とは限らないことから、すぐに倒産が心配されるわけではありません。また、もう少し将来まで考えても、今回、同時に1000人程度の人員整理も公表しており、本業の賃貸業はもともと損益分岐点近傍程度までは回復しているため普通にいけば極端な赤字はないと思われます。
なので倒産の恐れがあるとすれば、新型コロナウィルスによる更なる工事費用やまだ織り込んでいない公表されていない潜在的損失が数100億円程度あった場合かと思います。
なぜ損失は拡大したか?
では損失の拡大理由について見ていきましょう。
修正された純利益予想額は-803億円です。その内訳は以下のように公表されています。
2は会計上の将来の利益を見込んでいたものが赤字化により無くなったことに起因するものであり、実際の費用負担はありません。
繰延税金資産の取り崩しとは?影響や会計処理まで紹介 | 企業のお金とテクノロジーをつなぐメディア「Finance&Robotic」
また、4の特別損失もホテル・リゾート事業等不採算事業の撤退に要する費用であり、将来の業績に対しては『良い損失』と思われます。
以上のことから803億円の損失という数値の派手さと比べるとそこまで悪くないのではないかと思います。
賃貸事業における 2020 年 3月期通期の平均入居率は 80.78%(前年同期比△7.56 ポイント)に低下し、賃料収入等が減少したため、賃貸事業の業績を見直しました。
一方、賃貸事業はこれまで平均入居率80.78%であれば208億円も損失がでなかったと思われます。
事業構造が悪化しているとすればそれは深刻な問題かと思います。
https://reopajigsaw.hatenablog.com/entry/20200427/1587979004
日経新聞の6月3日の記事について
日経新聞で700億円を超える赤字、と報道されたとのことでそれに対する反論が出ています。
報道では、2020年3月期の連結最終損益は700億円を超える赤字とありますが、803億円の赤字の見通しであり、業績予想の修正について本日公表する予定でおります。
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/pdf/0604.pdf
文体は否定してますが、内容は完全に肯定していて不思議な文章となっています。
2021年3月期の業績について
では、2021年3月期の業績はどうなるでしょうか?
まず、繰延税金資産を取り崩していることから「来期は赤字です」と言っているように思えます。
レオパレス21の場合、2021年3月期の業績が期待できないような情報はこれまでも出ており、重要なのは2021年3月期で膿ができるのか?2022年3月期の入居率がどこまで上がるか、です。
明日の決算で発表される予定である「抜本的事業再構築案の詳細」が重要かもしれません。