【新型コロナ】アビガンは富士フイルムの業績に寄与するか?【知財状況】
3月17日、中国科学技術省が新型コロナウィルスにアビガンが有効であることを臨床試験で確認したと発表しました。
その報道を受け、富士フイルムの株価は一時急騰しましたが、その後、すぐに中国における物質特許が切れていることが報道され、すぐに急落しました。
アビガンの知財状況と富士フイルムの業績への影響について考えてみました。
富士富山化学のウェブページによると基礎出願は特許3453362となります。j-platpatで経過を見ると1999/8/18に出願、その後、PCT移行して、国際公開日は2000/3/2となっています。
特許の有効期間は20年ですから残念ながらごく最近、物質特許は失効したことがわかります。
アビガンは物質出願こそ1999年と早いですが、タミフル、リレンザの開発と時期が重なってしまい注目されず、2006年鳥インフルエンザへの効能発見、2007年富山化学赤字転落、2008年富士フイルムによる富山化学の買収、2014年ようやく日本国内における承認、と非常に紆余曲折しております
製剤や製法に関して、周辺の出願もされていますが中国においては物質特許が失効しているため、従来委託製造先であった浙江海正薬業股份有限公司が製造しているそうです。
一方、日本国内においては富士フイルム傘下の富士フイルム富山化学が製造販売承認を得ており、独占的な販売が期待できます。不安要素はまだ臨床の結果が少ないこと、胎児に対する催奇形性の可能性が指摘されている点でしょうか。
まだ薬価も決まっておりませんが、是非、日本初の薬であるがアビガンにたくさんの人を救ってもらいたいと思います。