【航空業界】中間席は売りません!!中間席ブロックは航空会社を救うか?
新型コロナウィルスの影響で経済は大きなダメージを受けていますが、航空業界は顕著に影響を受けた業界の一つで国内大手のJALは最終益が65%減、,ANAは71%減、に下方修正しています。
その業績改善策の一つとして、JALやスカイマークから中間席を販売しない『中間席ブロック』、が打ち出されています。
最も隣席との距離が近くなるエコノミーシートで隣の乗客がいなければ広くスペースが使え、非常に快適です。一方、損益分岐点の搭乗率は80%程度ともいわれております。
そこで『中間席ブロック』に関して考えてみました。
航空業界の先行きは?
株マップ.comの業種別指数ランキング(6ヶ月前比)では空運業界が圧倒的最下位で̠-46%となっています。
https://jp.kabumap.com/servlets/kabumap/Action?SRC=marketIndustry/base
また、オハマの賢人こと、投資の神様と呼ばれるバフェット氏も購入が失敗だったと、40億ドル相当の米航空株すべてを売却しています。
その理由として、新型コロナウイルスの流行がおさまった後に世界が変わる(元の業績には戻らない)ことを予想しています。
現在、ウェブ会議ソフトウェアのZOOM等が注目されているように、テクノロジーの進歩による需要の変化を予想しているのかもしれません。
そんな中、IATA(国際航空運送協会:世界120ヵ国、290の航空会社が加盟)が今後の展望に関するレポートを出しています。
05.05.2020COVID-19: Cost of air travel once restrictions start to lift
レポートによるとコロナウィルスの流行が後退しつつある中国を例に、ある程度の回復が見られているが中国国内の予約状況は最悪期の2月中旬より運賃を41%カットしており、予約数は235%増しているが頭打ちになっており、コロナウィルス流行前の予約数の1/3程度にとどまっていることを報告しています。
中間席ブロックで利益は出るか?
3席、3席の座席配置の場合、中間席を使用しないと最大の搭乗率は67%です。
搭乗率67%で利益が出るのでしょうか?
次の図は地域ごとの損益分岐点となる搭乗率ですが、搭乗率67%では黒字化は難しいようです。
本レポートでは損益分岐点となる搭乗率を67%まで下げるには1席当たりの費用をあげる必要がある旨が触れられています。
では、なぜJALやスカイマークは中間席ブロックを始めるのでしょうか?
0%よりまし?の67%
ビジネスインサイダーの記事で発着枠の確保のために、『ゴーストフライト』と呼ばれる乗客の乗っていない便が運航されている旨が報告されています。
また、同じくIATAの2020年3月度の月次分析では前年比の搭乗率がほとんどの地域で60%以下となっていることを報告しています。
中でも日本の自粛は優秀で国内線の搭乗率が前年度比39.0%であることを示しています。
また、飛行機内の空気は約3分ですべて入れ替わるように換気されており、コロナウィルスの感染リスクが低減されている旨が報告されています。
https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/coronavirus-travel-information/
まとめ
現在は緊急事態宣言が出されており、感染拡大予防が最優先となっています。ある程度、流行が落ち着きを見せ、アビガン、レムデシビルといった治療薬の効果が検証された先にはリスクをコントロールしながら経済活動を行い、ワクチン開発、集団免疫の獲得を待つフェーズが来るかもしれません。
中間席ブロックが本当に感染を防止するのかは疑問ですが、心理的な不安を少し緩和するかもしれません。
また、原油の価格も歴史的な低水準となっており、損益分岐点となる搭乗率を押し下げる効果もある程度あるかもしれません。
一方、ビジネス用途などではZOOM等の新しい技術、ツールが認知され、バフェットが先行きを悲観したような時代が来るかもしれません。
航空業界はコロナウィルスの影響だけでなく、新しいテクノロジーとの競合にもさらされ、先行きを見通すのは非常に難しい状況ですが、早く世の中が元に戻ってリゾートにでも行きたい気持ちでいっぱいです。