【新型コロナ】アビガン、国内で2000人超に投与。でも、回復者は増えているの?
政府対策本部では緊急事態宣言の延長が決まり、まだまだCOVID-19の流行がおさまる傾向は見えておりません。
COVID-19の治療薬として、レムデシビルが承認され、アビガンも承認が近い可能性がありますが、治療薬の開発と集団免疫獲得の関係について考えてみました。
集団免疫の獲得
COVID-19の流行がおさまるためには60~70%程度の人が抗体を持つ、『集団免疫』の獲得が必要です。
しかし、治療薬もワクチンもない状態で60~70%の人が罹患したらどうなるでしょうか?
日本の人口は約1.27億人、70%が罹患すると8850万人になります。そのうちの0.1%でも亡くなった場合、約9万人の犠牲が出ることになります。
これはボクシングに例えるとノーガードで打ち合いに挑むような状態です。
多くの犠牲者が出ることが避けられません。
実際、集団免疫の獲得を目指す方針をとっていたスウェーデンでは死亡率が非常に上がっているようです。
自粛生活は籠城戦
一方で、外出を自粛していればいつか解決するのでしょうか?
自粛生活は籠城戦のようなもので、新規の感染者数の低下は集団免疫の獲得を遅らせていることを意味します。
自粛のみでは抗体は獲得されず、経済的に追い込まれていくのみでしょう。
では自粛にはどのような効果があるでしょうか。ひとつは新規の感染者数を激増させて医療崩壊を起こさせないこと、もうひとつは、援軍がくる(治療薬やワクチンの開発)までの時間稼ぎが期待できるでしょう。
どのように集団免疫を獲得すればよいか?
最も良いのはワクチンの開発により、感染することなく抗体を獲得し、結果として集団免疫を獲得するのが良いでしょう。
しかしながら、それには時間がかかります。 ワクチン開発には開発、治験、量産の期間が必要です。
特に、量産に関しては対象となる人数が現状、あまりに多く、相当な設備が必要になることが見込まれます。
現実的には既存の安全性がある程度、担保された治療薬の転用である程度の治療を行いながら限定された経済活動を行いワクチン開発を待つことになるのではないでしょうか。
そんな中、日本ではレムデシビルが承認され、アビガンも5月中の承認を目指す内容が報道されています。
実際、アビガンは4月26日時点で2194人に投与されている旨が報道、および厚労省より公表されていますが、効果は出ているのでしょうか?
アビガンの治療効果はあるのか?
アビガンにより、症状が改善した旨、有名人や一般の方からも情報が出始めていますが、そこで回復者の数の推移について調べてみました(図)。
今回もまたジョンズ:ホプキンス大から公開されている新規感染者数のデータを用いました。
https://github.com/CSSEGISandData/COVID-19/tree/master/csse_covid_19_data/csse_covid_19_time_series
それを見ると、緊急事態宣言から新規の感染者数が減少していること、4月28日ころから新規の回復者数が急増していることがわかります。
これはレムデシビルやアビガン投与による治療との因果は明確ではありませんが、集団免疫獲得と経済活動の両立に向けて少なくとも前進しているかもしれません。
まとめ
自粛は籠城戦です。守っているだけでは兵糧が尽きてしまいますが、治療薬の開発により経済活動が限定的にでも再開できれば、ワクチン開発までの時間稼ぎができるでしょう。
一日でも早く通常の生活が戻ることを願っています。
大量保有報告書(EDINET)の読み方をまとめてみました
レオパレス21の株価は2年前の5月11日に1023円を付けましたが、2018年に明らかになった施工不備問題により、今では232円と約1/4まで下がっています。
その価格の低下により、外資系ファンドであるオデイアセットマネジメントや旧村上ファンドであるレノ、そして、光通信の重田氏との関係が噂されているアルデシアによる株式の大量保有が知られています。
上に挙げたような主要株主の動向を知ることにより、今後の株価変化に関して知見を得ることができる可能性があります。
では、主要株主の売買動向はどこで調べることができるでしょうか。
大量保有報告書について整理していました。
大量保有報告書でわかること
書類は4種類(訂正報告書を除く)あります。
上場会社の株式を大量に保有した場合、金融商品取引法に基づいて財務局に報告書を提出する必要があります。
報告書の種類は①大量保有者の属性、②取引の内容(新規の保有か、持分の変更か)、により決まります。
①の属性は、金融商品取引業者、銀行、信託会社等であれば、特例報告が認められています。
大量保有者が特例報告の対象でない場合、一般報告をすることになります。
②の取引の内容ですが、新規に5%以上の株式を取得した場合は大量保有報告書、保有後、1%以上の持分の変動があった場合、変更報告書を提出する必要があります。
提出の期日
一般報告の場合、大量保有者は義務の発生(5%以上の新規保有または1%以上の持分の変更)の翌日から5営業日以内に報告書を提出する必要があります。
仮に月曜日から1日2%ずつ購入したとします。すると水曜日には保有比率は5%を超えるためそこが報告義務の発生日となります。その翌日から土日休日を除く、5営業日以内なので翌週の水曜日までに報告書が提出されることになります。
特例報告の場合、あらかじめ定めた基準日(下記、aまたはbを選択可能)から5営業日以内に報告書を提出する必要があります。
a.各月の第2月曜日及び第4月曜日(第5月曜日がある場合にあっては、第2月曜日、第4月曜日及び第5月曜日)
b.各月の15日及び末日(これらの日が土曜日に当たるときはその前日とし、これらの日が日曜日に当たるときはその前々日)
【レオパレス改修工事】これまでの進捗をまとめてみた【国交相が遺憾】
レオパレス21では2018年に天井や壁における界壁と呼ばれる部分の施工に不備があることが報道等から明らかになっており、調査、改修工事が進められています。
調査、改修工事は経営に明らかな重荷となっており、2019年3月期の決算では548億円の特別損失を計上しております。
その改修工事のスケジュールとして2020年6月のネイルシリーズ、6シリーズ、2020年12月にその他シリーズの改修工事が終わる旨、公開していました(2020年3月期3Q決算資料)。
https://www.leopalace21.co.jp/ir/library/pdf/2020/3Q/daisan_ppt.pdf
しかしながら、明らかな不備が見つかった棟数は13500棟程度あり(2019年10月31日時点)、残り400日程度で本当に改修が終わるのか疑問視する意見もありました。
そんな中、2020年4月28日に毎日新聞から
不良物件の改修時期について、実際には2年半以上かかる可能性があると認識しながら、「20年12月末をめどに完了させる」と意図的に楽観的な見通しを公表した疑いがある
と報道されました。
その報道に対して、レオパレス21側は
2019年10月31日付『当社施工不備物件の全棟調査の状況及び今後の改修工事の方針について』において公表した改修完了時期は、実現不可能と認識しながら公表したものではありません。
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/0430_3040.html
と反論していますが、一方で新型コロナウイルスの影響で工事が遅れる旨、発表しています。
明らかな不備の改修工事完了時期、及び軽微な不備のみ物件の改修計画の報告時期を延期することとし、新型コロナウイルス感染症に係る事態の推移、その影響を見極めた上で、改修計画の見直しを行い、あらためてご報告することといたします。
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/0430_3044.html
そこで、これまでの調査や改修工事の進捗についてまとめてみました。
(データはこれまでの決算資料等を使用)
施工不備の調査
2020年3月31日時点で、レオパレス21の施工物件数は39085棟、その内、調査対象の棟数は38708棟と報告されています。
その調査の進捗はネイルシリーズ、6シリーズ、その他シリーズにわけて公表されており、2018年の7月ころから順調に調査が進んでおります。月2000件程度のペースで調査は行われており、2019年10月31日時点でその調査はほぼ終了し、13500棟あまりに明らかな不備が見つかっています(図1)。
施工不良の改修工事
調査の結果、13606棟の物件で明らかな不備が見つかっています(2020年3月31日時点)。
内、990件で改修工事が終了しています。
まとめ
2019年3月期の決算時点では7085棟に明らかな不備が見つかっており、548億円の特別損失を計上しています。2020年3月31日時点では明らかな不備が見つかった棟数は13606棟と約2倍弱となっています。
どれだけ追加の損失が計上されるのか、2019年度決算ですでに織り込んでいるのか?2020年3月期の決算、2021年3月期の予想公表が待たれるところです。
【延期、延期、延期】レオパレスが改修工事、事業戦略再構築の詳細発表、決算発表、を延期!!
施工不良問題が経営の重しになっている株式会社レオパレス21ですが、4月28日に毎日新聞で
不良物件の改修時期について、実際には2年半以上かかる可能性があると認識しながら、「20年12月末をめどに完了させる」と意図的に楽観的な見通しを公表した疑いがある
と報道されました。
その報道に対する見解を含め、レオパレス21から本日(4月30日)、3つの文章(報道に関して、抜本的事業構造改革に関して、決算に関して)が公開されています。
それぞれについて考えてみました。
改修工事の実施計画について
そもそも施工不良問題についておさらいしたいと思います。
ことの発端は2018年3月、4月に2名のオーナーから指摘を受け、界壁施工の不備が明らかになりました。
界壁とは以下のように説明されています。
https://www.leopalace21.co.jp/info/overview.html
界壁とは共同住宅など各住戸の間を区切る壁のことを言います。
界壁は、「防火」「遮音」について建築基準法等、関係法令の技術的基準に基づく性能を満たし、小屋裏・天井裏まで達するように設ける必要があります。
さらに5月29日には、テレビ東京の番組『日経スペシャル ガイアの夜明け』にて「違法建築疑惑のスクープ」として界壁の不備に関して報道されています。
その改修工事の進捗状況は決算発表などで都度、公表されています。
2月に公表されたの2020/3月期3Q決算資料をまとめると図のようになります。
全管理棟39085棟のうち、さらに対応が必要な棟数が13117棟残っていることがわかります(2020年1月31日時点)。
尚、その2か月後の2020年3月31日時点での進捗も公表されています。
https://www.leopalace21.co.jp/info/pdf/2020/progress.pdf
公表されている資料によると改修完了棟数は880棟(10月31日)、942棟(1月31日)から990棟(3月31日)と増えていることがわかります。
つまり、6か月で110棟の改修が完了したことがわかります。1月31日時点の改修工事の未着手棟数は9147棟なのでだいぶペースをあげないとそもそも改修が終了しないことがわかります。
事業戦略再構築の詳細発表の延期
抜本的事業戦略再構築の内容(骨子)が発表されました。
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/pdf/0430_03.pdf
それによると各事業については
a)強化 賃貸事業
b)維持・継続 シルバー事業
c)縮小 開発事業
d)撤退・譲渡 国際事業、ホテル・リゾート事業
となっています。
方針としては
1)事業戦略の見直しに基づくノンコア事業の撤退・譲渡
2)事業戦略の見直しを踏まえた抜本的な人員最適化・スリム化
3)規模の適正化にあわせた、徹底的な販管費等のコスト削減
の3つが報告されています。
これまでも3)の販管費等のコスト削減はすでに行われており、2020/3月期で77億円の削減を公表しています。
2)のスリム化は事業なのか人員なのか、ここからだけでは少し読み取れません。詳細が明らかになるのを待ちたいと思います。
1)のノンコア事業の撤退・譲渡はd)の国際事業、ホテル・リゾート事業の撤退・譲渡とリンクしているように見えます。
2019年10月にすでにホテルやオフィスの売却を報告しておりますが、さらに売却を進める模様です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50616090U9A001C1916M00/
ホテル・リゾート事業は2016,17,18,19年と赤字が続いているので、事業の売却は経営の改善に寄与するものと思われます。
しかし、あまり『抜本的』とは思えないのは私だけでしょうか。
詳細がほとんどないため、判断しかねるところかと思いますが、レノがどのように対応するか注視したいと思います。
決算発表の延期
4月14日に金融庁から有価証券報告書の提出期限を9月末まで延期できる旨、公表されています。
https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200414.html
レオパレス21に限らず、多くの企業で決算の延期が公表されているようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200421/k10012397611000.html
レオパレスにとっては決算報告だけでなく、事業戦略再構築案の報告も必要であり、時間ができた、というところでしょうか。
まとめ
今回、コロナウィルスの流行を理由に改修工事、事業戦略再構築の詳細発表の延期が公表されましたが、うがった目で見てしまうと本当にコロナウィルスが理由なのか、すんなり受け入れられないような実感です。
理由はともあれ、改修工事の延期、事業の撤退は財務を悪化させるものではないと思われますので、賃貸事業を立て直して健全化する、という観点では一歩前進でしょうか。
(一歩が大きいか、小さいのか、はさておき、、、ですが)